がんに関する保険記事を4回に分けて紹介するシリーズの第3弾として、今回はがんの標的治療の概要およびそれが生命保険・医療保険会社に与える影響について、チーフメディカルオフィサーのアヒム・レーゲナウアー博士の解説をご紹介します。がんの標的治療とは患者の予後を改善し、個別化医療をより身近なものとする革新的で新しいがん治療法の総称を意味します。
本コンテンツは簡潔な箇条書きのフォーマットで解説されておりますので、複雑な医学的説明を読み解いたり、センセーショナルな見出しを解釈したりする必要はありません。
また、アジア太平洋・ライフ&ヘルス・クライアントソリューション開発責任者のブライス・シェパードが、生命保険および医療保険業界がこれらの変化にどのように対応していけばよいかについて、市場に関する貴重な洞察とソリューションを解説しています。
個別化医療への移行はエキサイティングで重要な進展であり、がん患者に治療結果の改善、さらには回復に向けた新たな医療の選択肢を提供するものです。一方で、生命保険業界には機会と課題があります:
ビジネス機会は、がんの標的治療をより身近で手頃なものにするため、生命保険会社がどのように商品の再設計やサービスを取り入れるかという点にあります。これが実現すれば治療の成功率が向上し、重度のがんの発症が減少するため、顧客にとって保障商品の価値が高まり、(適切な給付設計により)保険会社のコストも削減されるはずです。
一方、課題もあります。それは新しい薬や治療法の登場や、それらが既存の商品定義に与える影響によるトレンドレベルの不確実性から展開される課題です。医薬品が承認されると、当然のことながらその利用可能性のために保険金請求が急増します。ここで、商品の持続可能性を確保しつつ、常に変化する利用可能な治療法のリストを組み込んで給付を設計するという課題が発生します。
がんの標的治療薬の進歩と市場での承認の速さに伴い、医療の進歩、商品および価格の改定の間の整合性を維持するために、すべての開発状況を注視する必要があります。詳細は以下のセクションをご覧ください。
新しい治療法が普及するには時間がかかりますが、その分コストも高く、多くの人にとっては手の届かないものとなっています。
新しいがん保険・がん商品を設計することで、コストの障壁を下げることはできないだろうか?これこそが(再)保険の役割であり、協力し、リスクを分散し、そして持続可能性と手頃な価格を確保することもその役割に含まれます。
PartnerReは標的治療をカバーするための独自の定義を開発することで、新たな展開を図っています。このソリューションについての詳細は弊社までお問い合わせください。
明るい未来に向け、新しい治療法がいつ、誰に、いくらで提供されるかは未知数であることを認識し、未知数に対応した(将来に備えた)商品作りに努めることが重要であると考えています。
保険業界が果たす重要な役割のひとつは、医療の進歩を社会に浸透させることです。これは情報に基づいて治療や重症度の給付を継続的に再設計することで、商品が顧客にとってより適切なものとなり、イベント、金銭的支出、給付の間の整合性を維持することができるからです。
PartnerReは商品のイノベーションに関して優れた実績を持っています。私共はこのような進歩のための商品設計をすでに進めており、このような将来を見据えた商品のアプローチが顧客に評価されると確信しています。
私共は最新の治療法に関して知識の深いグローバルな医療専門家を有しており、このチャレンジに期待を寄せています。皆さまと共に解決策を導いていけることを願っております。
この概要が皆さまのお役に立てば幸いです。
次回は「第4部:がん医療の新たな展開を促す腫瘍ゲノム解析 」と題しまして、ゲノム解析がいかに医師の診断を向上させ、患者に適した薬剤や治療法、臨床試験を特定するための重要な手段であるかについてご紹介します。
私どものアプローチは、専門知識の共有ならびにクライアントの成功を創造するというパートナーシップをベースとしています。今後、具体的なソリューションへと繋いでいけるよう、ご意見を頂戴できますと幸いです。
Kenichi Kim, Client Partner, Japan, Life & Health, APAC
Achim Regenauer, Chief Medical Officer, Life & Health
Bryce Shepherd, Head of Capabilities Development, Life & Health, APAC
[1] The spread of cancer cells to other organs of the body.
[2] PartnerRe 2021 Cancer Series 第2部:がん診断 – 早期発見と罹患率・死亡率への影響